三ノ刻 大償

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逃げなければ、ヤバイ。 脳の奥深くから恐怖が沸き上がる。先程着物の女に対して感じた恐怖よりも強い、本能的な恐怖。 縄の男は、ゆっくりとこちらに近づいてくる。 弾かれたように俺は走り出す。近くの扉を開き、外へつんのめるように飛び出した。 外へ出る。気配は追いかけてくる様子も無く、ひとまず安心した。外は中庭を囲むように階段が伸びており、二階に続いているようだ。 ふいに見上げた二階の扉に、古泉らしき人影が入って行くのが見えた。 「古泉!」 走って追いかけたがやはり追い付かなかった。建物の中に繋がる扉は一つしかなく、扉の中を覗いても人影はなかった。 建物の中に入ると、左手に扉があった。鍵がかかっているようで入れない。  
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