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仕方がないので道なりに進んで行くと、明かりが明滅している部屋に着いた。
目に悪そうだな、などと的外れなことを考えつつ部屋に踏み込んだ瞬間、奥の方から小さく声が聞こえてきた。
(ずっと一緒だって言ってたのに)
(みんな、死んじゃった)
(私たちのせいだよ)
どこか嘆くような少女の声。部屋の奥に目をやると、衝立の向こう側にまだ少し空間がある。回り込んで覗いてみると、また扉があった。
(昔の家というのはなんでこんなにも無駄に広いのかね…)
恐怖心を拭うように、思考を明後日の方向に散らす。心の中で色々と不平不満を撒き散らすと、少し落ち着く。
落ち着いたところで目の前にある扉に手をかける。鍵がかかっている様子はなく、微かな軋みを手に伝えながら扉が開いた。
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