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分からない。何も無い。
ただ空間は続いている。
色も無い、けれどぽっかり空いた感じだけが解った。
…他は何も分からない…
ここは一体どこなのか
何故こんな所にいるのだろうか
自分は――誰なんだ
「おや…お客様ですか。」
不意に、音が入ってきた。
どこからともなくこの空間一体に、コツコツと歩いているような足音が響いている。
まるで方向感覚が失われたかのようにその音がする方向も判別出来なかった。
「迷える子羊…ここへ流れていらしたお客様。心より歓迎いたします」
脳に直接伝わり響く音。
足音は目の前で、止まった。
「ようこそ…。物語へ続く扉の入り口、“異空間世界”へ―――」
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