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教室のドアが開き、華丘美羽が帰って来た。
いつもと変わらず淡々とした調子で席に戻り、本を開いてまた自分の世界に入っていった。
話しかけるとは言ったものの……さっきの光景を見てしまったら怖じけついてしまうな。
「マサル~!!お金返してぇ!!!」
俺の腰に抱き着いて泣き付いて来たおっぱいストーカー。
「諦めろ。お前が作ったルールだろ!」
「今回だけ破棄だ!!返しやがれ!」
理不尽なキレ方してきやがったこのおっぱい野郎。
欝陶しいのでとりあえずお金は返した。
「マサル!話し掛けるのか!?無理だって!俺が今まで何回話し掛けても微動だにしなかったんだぞ!
あまりにも気付かれないから…オレ、透明人間になれたんじゃね?って思ってさ……浮かれて女風呂に行ったら捕まったんだ!
………俺…その時に気付いたんだ……。
俺……無視されてたんだよ……」
日本の警察はなぜこいつを野放しにしたの?
っつか…嫌に詳しかったのはそのためか。
「何回も挑戦した俺でも無理だったんだから一回目のお前なんか相手にされないに決まってる!!」
「一回目じゃねぇよ……。ちょっと言葉を交わしたことはある」
「ふぁっ!?」
そう。実は話し掛けるのは初めてじゃない。
……あっちから言葉が返ってきたことはないが、話し掛けたことはある。
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