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それは一年前くらい前のこと。
二年のテスト期間中、槌屋もといおっぱいストーカーが『勉強を教えてくれ』とうるさくて集中できなかったので、放課後に一人隠れて図書館で勉強していた。
何より図書館は静かで、参考書や問題集が豊富だからという理由だ。
数Ⅲを勉強しようと思ったのだが参考書を忘れたので探すことにした。
図書館には俺の考え方と一緒の奴がいた。参考書を先に取られ、あと一冊しかなかった。
運がよかったなと安心して席に戻ろうとした時に、俺の前に薄い桃色の腰までのびる長い髪をしたかなり顔立ちの綺麗な女の子があの碧く大きな瞳で俺の目をじっと見つめてた。
(もしかして……噂の華丘さん…?)
華丘美羽はトタトタと可愛い足音を立てて俺に駆け寄って来た。
華丘美羽は小動物のような可愛い顔でさらにじっ~と俺を見つめた。
「えっと……どうしたの?」
華丘美羽の目線は俺の持ってる参考書に移った。
この時にわかった。
彼女も参考書を探しにきたのだが俺が最後の一冊をとってしまったんだ。
「あぁ参考書?はい!使いなよ」
「………?」
華丘美羽は可愛く首を傾げて俺を上目使いで見上げた。
か、可愛すぎる!!なんだこの娘!
首を傾げたまま、俺をじっと見つめる。
「いいの?」と言いたいのだろうか
「あ、ああ!全然いいから!俺、もう使わないし!はい」
華丘美羽の小さな手に参考書を置いてあげた。
華丘美羽は自分の手に置かれた参考書をじっと見た後、また俺を見つめてきた。
(なんだこの娘……)
気が付けば鼻が触れ合いそうな程に顔が近づいている事に気がついた。
俺の視界は綺麗な彼女の顔でいっぱいになっていた。
シャンプーの良い匂いが鼻をつく。
この時に胸がドクンと大きく脈を打った。
「じ、じゃあ俺行くわ!勉強頑張って!」
胸がまだドクンドクンと脈を打つ状態で逃げるように図書館をでた。
おかげで勉強に集中できなかったんだけど……。
もうこの時から華丘美羽の顔が脳裏から離れなくなった。
俺はあの時に好きになったんだ。
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