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ついに時はきた。
終礼を終え、放課後。
俺はついに心を決めて華丘美羽に告白する。
「マサル~部活行こうぜ。お前が華丘美羽に名前を間違えられたという失態をさらしになぁ……!!ぺぺぺぺぺぺ!!!!」
何も聞こえない。
ただ俺には華丘美羽しか見えていなかった。
そしていろんな考えを張り巡らせていた。
まず告白場所だ。
もちろん、ほかの誰かがいるところでできるわけない。
もしフラれたらみんなの笑い者だ。
ましてやおっぱい変態ビチクソストーカー野郎……長いな。
おっぱい野郎がそら来たと言わんばかりに俺をからかうだろう。
そいつの本名……?忘れた。
そもそもおっぱい野郎がいちゃ駄目だ。
理由はさっき言った通り。変態だからだ。
「おっぱい野郎。先行っててくれ」
「誰がだ!!槌屋だ!!槌屋!……ったく」
ツチヤ……?贅沢な名前をしてるねぇ。
いいかい?今からお前の名前はおっぱい野郎だ。
……おっぱいおっぱい言ってすいません。
真面目な俺の物語です。
ふて腐れた槌屋の背中が見えなくなったのを確認すると俺はすぐさま華丘美羽に顔を向ける。
彼女は鞄の中に教科書を入れ終わってまさに帰ろうとしてるときだった。
行け。今しかないぞ。
覚悟を決めたんだ。
様々な感情が巻き起こり、重くなった足を華丘美羽の方へ確実に、
一歩一歩進める。
彼女は自分に近づいてくる俺に気付き、帰ろうとしていた足を止めてくれた。
そしてまたあのかわいらしい顔が俺を見つめる……。
華丘美羽の前に立った。
……やっぱり結構ちっちゃいな。
俺の胸あたりにある華丘美羽の顔が俺を見上げる。
告白場所は決めた。
覚悟も決めた。
心臓は激しく動いて、鳴りやまない。
ふぅと息をはいて、改めて華丘美羽の目を見つめ返す。
「この後…時間あるか?」
これだけの事を言うだけでもかなり精神が擦り減る。
……ってかこの段階で断られたらどうしよう。
そんな不安が頭をよぎる。
華丘美羽の視線は俺の胸のあたりに落ち何か考えるような面持ちになった。
流れ出した沈黙。とても時間が長く感じる。
相対性理論っていうのはこういうことか。
……すまん。自分でも訳がわからん。
早く……返事をくれ華丘……じらさないで……じゃないとわたし……ビクンビク
一瞬だったはずの沈黙の時間の後、華丘美羽はかわいく頷いた。
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