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「こうら…は……ヒック……みうと帰るの…つまらない……。みうが……グスッ……あんまり……しゃ…しゃべら……ないから……」
「ち、違うって!!なんでそんなこと……」
「だから…謝るの……みうの方なのに……こうら、なんで…謝るの………?」
「みう……」
普段は滅多に感情を表にださないあの高嶺の華の華丘美羽が……
笑ったり、怒ったり。そして泣いたり。
俺の為だけに、俺の前だけ感情を出してくれている。
告白してから数時間しかたってないのに。
彼女は大きくて綺麗な瞳に涙の玉をいくつも作ってそれを一生懸命小さな両手で掬いとっている。
なにもかもが初めて見る華丘美羽だった。
「なぁ…みう。昼休みとかさ……木村とか、ほかの男子にあんな態度とってたのに……どうして俺の時は話してくれたんだ?」
「ひく……えぐ……グス……」
華丘美羽は泣くばかりだ……。
「………みうはさ、普段は無口で無表情で…あんまり人とコミュニケーションとろうとしない……。けどどうして……俺だけにはそんなに笑ったり話しかけたりしてくれるんだ?」
かがんで華丘美羽との目線を合わせるように顔を覗き込んで言った。
しばらく間があいた後……華丘美羽はやっと震える口を開いてくれた。
「……みうも、わからない」
「わからない……?」
「こうら、覚えてる……?一年前の……図書館………」
俺とみうが……初めて会った場所。
「あぁ。もちろん」
「あの時……こうら、さんこうしょ………貸してくれた。
みう、人と話すの……苦手だから……貸して欲しいって、言葉にできなかった……。でも、こうらは……気付いてくれた。
みう、すごく…すごく嬉しかった。
こうら、すっごく優しかった。みう、わかってたんだよ……?
こうらがあの時、勉強…してたの……」
華丘美羽がこんなに喋っているのは初めてで驚くべきことなのだが俺は華丘美羽の話に夢中で気にならなかった。
「なのに……こうら、先にさんこうしょ貸してくれた。こうらの優しさ、凄く嬉しかった……。それから……みうのこのあたり、きゅんっ……てなった」
華丘美羽は自分の大きな胸に両手を添えて言った。
胸キュンですね。わかります。
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