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“高嶺の華“華丘美羽と恋人同士になって数日がたった。
俺とみうは一緒に学校に行ったり、一緒に帰ったり、
そんな事を他愛もないことを日々積み重ねていくうちに、俺と華丘美羽はやっぱり付き合ってるんだなという実感がふつふつとわいてきた。
あぁ……嬉しい。
しかしそんな恋人同士としてやるべき事をやっていないのに気がついた。
手を繋いでない。
まず順序を間違えた。
告白したあの日に俺達は手を繋ぐ事はせず感極まってお互いに抱きしめあった。
それに気付いた俺は登校中、帰り道に手を繋ごうと試みるのだが……それを意識してしまうと会話ができない。
っつーか恥ずかしくてできない。
ヘタレだな俺……おっぱい野郎程じゃないけどな。
そんなこんなで進展しないわけで…まぁ焦らずゆっくりいけばいいよな……。
朝ごはんを食べ終えた後、ウルト〇マンの早さで制服に着替え、みうと一緒に家を出て学校に向かう。
ちなみに俺は一人暮らし。
両親と3つ上の姉がいるのだが、両親は都会の喧騒が嫌いで、オラこんな村ぁ~いやダぁと言って鳥取に飛んでいった。
姉は大阪で元気にやっている。
まぁ家族の話はこのくらいにして。
みうと横に並んで学校に向かう道を歩いていた俺は今度こそ手を繋いでやろうと手をギチギチさせていた。
みうは静かな顔で目の前を見据えながら歩いている。
すぐそこにみうの小さな手があるのに……なかなか手が動いてくれない!!
くぉぉぉ……。
と、奮闘しているとみうが立ち止まってこちらを見つめていることに気付いた。
「ゆぅ」
「な、なんだ?」
「好きぃ」
俺は何も考えず抱きしめた。
ふもっふ、ふもっふ
「いきなりどうしたんだ?みう」
「ゆぅ、好きぃって言ったら、ぎゅって、してくれるから」
俺の腕の中にうずくまっているみうは体をピッタリとくっつけてそう言った。
「みうはこれ大好きだもんな」
「うん。ゆぅは……好き?」
「うん。みうの事もな」
「………」
みうは俺の制服を恥ずかしさにたえるようにぎゅっと掴む。
ほんっとに……この娘は………
食べちゃうぞ☆
まわりの目線が恥ずかしくなったので俺達は再び横に並んで歩き出した。
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