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昼休みの時間。
みんな仲良く机をよせて賑やかに雑談しながらお弁当を食べる時間……なのだが、
やはり華丘は違った。
もう昼食を終えて一人、本を読んでいた。
やはり綺麗な人は何をしても絵になるな~。
「……マサル。見すぎだぞ。まぁあの美貌に見とれるなっていう方が無理だわな」
「あぁ……無理だよ」
なんだあの女の子は…?
ただすわって本を読んでいるだけなのに…目が離せない。
何かこう…キュンとする。胸キュン?これが胸キュンか。
しかしなんて綺麗な横顔だ…。
透き通る程の白い肌、長いまつげがくりっと上を向いて大きくて水晶のような青みがかった瞳が上下に動く。
そして白く細い手でページをめくる…。
ふと教室が少し静かになっていることに気がついた。
クラスの男子全員が目をハートマークにして華丘美羽に見とれていた。
「……おい。話し掛けてこいよ」
「えぇ…」
と、一人のモブ男子Aが友達に背中を押され、華丘美羽の前に放り出された。
そんな事には気にも留めず、相変わらずの綺麗な姿勢で本を読む華丘美羽にモブ男子Aはそろ~っと近づく。
俺を含め男子全員が行く末を見守っていた。
「あいつ…馬鹿な事を……。マサル、よく見とけ」
槌屋がぼそりと呟いた。
よく見とけって……何が始まるんだよ。
華丘美羽は近づいてくる男子を気にする様子もなくページをぺらりとめくっている。
あいつめちゃめちゃ緊張してる……大丈夫か?
そしてそいつは華丘美羽の横に来た。
さあ……どうなる?………というか華丘美羽の声はどんなんだ?
槌屋は結末がわかっているからなのか見守ることはせず呆れた顔で昼食をとっていた。
そしてそのモブ男子Aはついに口を開いた。
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