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「ふふ…もしかして照れてる?ほんとに可愛いね」
と、激しい勘違いをした木村は甘く囁きながら華丘美羽の顔に近づいていきやがった!!
あのやろう!
もしキスしたらコーラ・チョップを10回食らわして顔をもこもこいわせてやる!!
そんな状況にも関わらず槌屋はウィンナーに夢中だった。
変態め。
男子がアーッ!女子がキャーっ!と叫ぶ中、木村は華丘美羽に顔を近づけている……。
しかし華丘美羽はかなり本に集中しているからなのか気付いてないご様子……。相変わらずのペースでページをめくっている……。
おいおい!!キスされてもいいのか!!!
「良い匂いだね……」
徐々に唇が近づいている。
数センチ……。
その時……僅か、ほんの僅かだけど、華丘美羽の眉がぴくりと動いたのが見えた。
嫌がってる。
俺はそれを見て、無意識に立ち上がった。
「おい!!やめ『ピ――――ンポ――――――――――ンパー――――――――ンポ――――――――――ン』」
席を立ち、そう叫んだのだが放送アナウンスが流れた。
俺の声は掻き消された。
なん……だと……?
『華丘美羽さん。田淵先生の所まで来て下さい。繰り返します』
その放送を聞いた華丘美羽はパタリと本を閉じて、
木村に目も暮れず何事もなかったかのようにスタスタと教室のドアへ歩く。
俺は突っ立ったまま教室を出ようとする華丘美羽をぼーーっと眺めていた。
そして一瞬、
あらゆるの男子達と一切目を合わせなかった華丘美羽と
初めて目が合った。
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