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「ところで…どういった用件で来たのじゃ?」
思い出したようにルシフは話した。
「…今日辺り、白都の騎士団が攻めてくるでしょう」
「新月になる前にこちらに痛手を喰らわせたくて堪らないみたいです」
「今日のような日にか…確かに、嫌な風が吹いているの」
「今日傷を負えば、新月の日に戦う事ができなくなるでしょう。
連日の襲撃により、今日まで保たせていたのが奇跡なくらいに…」
「女神はまだわし等を見捨ててはいないらしい…そういう事じゃ」
「そうですね…」
そう言って2人は白都へ目を向けた。
薄暮時の薄暗さも、文明の力で光を生み闇を受け入れない。それが酷く滑稽に見える。
白都を見つめたまま、ルシフは継父に言った。
「先ほどの話に戻りますが、ヒラに言ったように…そこまで継父の名、と言うのは重い意味を持つのですか?」
突然の問いに戸惑いながらも、継父は答える。
「そうじゃな…そろそろ話してやる時期かもしれぬ。
成熟期も後は終わりを待つだけのお主じゃ…理解もできるじゃろう」
そう継父は言うと、昔話を聞かせる祖父のように、ゆっくりと話し始めた。
「わし等が、黒月(新月)などと呼ばれるいわれはないのじゃよ…」
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