生ける伝説、死して神話

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  継父は、ゆっくりと語り始めた。その眼は暗く…怒りに満ちていた。 敬意を払い続けた我等が祖の話で、継父がこんなに悲しい瞳をするとルシフは考えられなかった。 だが、女神との出会いまでを話した継父は揺り椅子から立ち上がり、テントの中へ消えた。後に続いて、中に入ると書物棚を漁っている。 それは酷く奇怪な行動に見えた。 継父は書物棚の上から二番目の段を空にすると、そこに隠されている見るからに年月を感じさせるぼろぼろの布にくるまれた何かを取り出した。 それをテントの真ん中にあるテーブルにそっと置くと、ゆっくり解き始めた。   「これは…歴史を変える物だ。白都の聖書なぞよりも…重く、真実だけを書いている」   「継父、これは一体…?」   「“継父の禁”と呼ばれ、歴代の継父をがずっと隠していた物じゃ。 『女神を奪われる危機に直面したときに、見る事が許される』ミカリの手記じゃ」 「今がその時と思い、読んだのだが…まるで時代の流れを読んでいたかの如く、今の戦争が予測されていたのじゃ」 「ルシフ神父、禁が解かれる時が来たのじゃ。真実を明かそう」   継父は手記を開いた。
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