生ける伝説、死して神話

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      ―女神の教えは、今の世に必要な物だ。俄かに豊かになり行く世界には、求心力と…秩序が必要だと考えるから。   全ての生物には与えられた役目があり、均衡の上で成り立つ。 …これは自ら気づける訳もなく、素直な驚きと喜びが得られる。 神の教えとはかくも尊き物である。だがそれは、神自身が尊きにあるからで…それに人が惹かれ導かれるに過ぎない。 その上、神は姿も形も様々に、風や水、木の葉一枚に致まで神がいるなど…人間は感謝せねばならない。 神ではなく、人間が統治するからこそだ。     神により救われた命。 授けられた教えは、我等が4人が広める使命であるに違いない。 私の他の3人も同じ胸中である事は、女神への態度が物語っている。           …我等は女神と共に、教えを広めに歩いた。 我等は今や当然になっていたが、人々の反応は当時の我等を思い出させる。価値ある物に出会う事の喜びは、人種が違えど共有できる物にあるらしい。           …教えは確実に広まりつつあった。女神は最早人と同じ大地に立っているのが不思議な程崇められている。世界を慈愛で満たす方はかくも尊きかな。           …今日という日は歴史に残る日だ。大………国に我等が神の教えを広めに、その国まで赴いた。 王は我等の神を王より上の力を持つと認められ、女神は神殿と呼ばれる建物を与えられ、そこで暮らすことになったらしい。 今度からは教えを広める旅には我等4人で行くことになるが、このような巨大な国に留まり、人を導くことこそ女神には相応しい。 我等は誰よりも、女神が殿に入ることを喜んだ。別れに涙は要らない。女神に救われた命の恩返しを続ける限り、神は我等と共にある。
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