3人が本棚に入れています
本棚に追加
セラフは久々の上機嫌だった。
この地に、王国騎士団と共に進軍した時は、先住民はことごとく戦わずして降ったからだ。
だが、信仰が奪われるかもしれない今なら…きっと刃向かう。
教会に楯突く輩は排除するのが教会騎士だ。
戦うのが使命なら、戦いにこそ喜びと生きがいを求めるものだろう。
長老会に申請書を書いている間にも期待は膨らみ、年齢よりも少し幼く見える無邪気な笑顔をしていた。
老人を一蹴した時の様子とは正反対で、騎士団の格好をしてなければ、収穫祭に浮かれる15歳の子供だろう。
「エヴァン、これを郵便まで持って行ってくれないか!?」
セラフは書き終えた申請書を教会騎士仲間に渡して言った。
「どうしたセラフ。妙に上機嫌じゃないか…ようやく戦えるのか?」
エヴァンと呼ばれた仲間も察したらしく呼びかけに応え申請書を受け取った。
「マジョロ神父、直々の申請書さ!!これでまた少しは恩返しができるってもんさ」
「セラフ…よくそんなに朗らかに言えるな。戦うのは恐いだろう?」
「そんな事無いさ!!孤児だった俺たちを育てた教会にできる唯一の恩返しだ。本望だろ?」
「…そうかもな」
まんざらでもない顔をして、エヴァンは申請書を持って郵便まで行った。
見送ったセラフは返事を待つこともせず、武器の手入れに取りかかった。
まるで積み木で遊ぶ子供のように…。
最初のコメントを投稿しよう!