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東京の高級住宅街にひときわ目立つ大きな白い家があった。
家と言うより豪邸と言った方がピッタリなその家に、まるでお姫様の様な少女が住んでいた。
少女の名はエリカ。
エリカは今日もまた、敷地内にある広い庭で散歩をしていた。
右奥の角にあるブランコの所までやってきたエリカは、茂みの奥から人の気配を感じた。
「誰? 誰かそこにいるの?」
返事は返ってこない。
高鳴る恐怖心を抑えながら、エリカは茂みに入っていった。
「お願い、逃げないで。 誰かいるんでしょう?」
何度呼び掛けても反応はない。 誰もいないのだろうか。 単なる勘違いだろうか。 でも確かに感じた視線と気配。 エリカは尚も奥へと入っていった。
そろそろ敷地の柵に当たるという所まで来て、右側から微かな物音がした。
見えた!
一瞬見えた明らかに人間であろうその姿を、エリカは決して見逃さなかった。
「待ちなさい!」
エリカは走った。 草木を掻き分けながら必死に走った。 その目は相手を捉えて離さない。 相手も必死に逃げていた。 だがエリカの方が速かった。 15メートルくらい茂みを走ってやっと捕まえた相手はなんと、同い年くらいの少年だった。
「こんな所で何してるの!?」
「………!」
少年の目はひどく怯えていた。
エリカはとりあえず少年を自分の部屋へ連れ込んだ。
普通に考えれば、犯罪者かもしれない素性の知らない侵入者を部屋に招き入れるなんて殆んど自殺行為だが、エリカはかなりのお人好しで、理由も知らずその少年を警察に突き出すなんて出来なかった。
少年は好奇心に満ちた表情で辺りをキョロキョロしていた。
エリカはこの少年を年下に思えた。
エリカは17歳。 少年の見た感じ体つきは同い年くらいに見える。 しかし振る舞いがまるで小学生の様だ。
「こっちよ」
「…」
エリカは少年を椅子に座らせた。
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