帰宅時間

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金ちゃんの後ろ姿を邪な目で追っていると 背後から不気味な笑い声が聞こえ 額に手を当て溜息を吐きつつ振り返った 「フフフフ……いいねー…お転婆菜帆ちゃんも良いケド…天然不思議っ子の喜李弥ちゃんも可愛いよねぇ……」 口元を隠して不敵に笑う浦と目が合い また深い溜息を一つ 夜の街で一、二を争う売れっ子ホストの浦 甘いマスクと二枚舌のエロ声を武器に人気急上昇中 ガキの頃から口だけは達者だったからなぁ…ホストは天職だな…… 「…ってか、俺の可愛い妹ちゃん達に手ェ出したら問答無用で海に沈めるぞ!!」 「幾ら僕が釣り師だからって、自ら死に行くようなコトはしないよ…」 ‐ガラッ!…ドタドタドタ……‐ あ…また誰か来た… 次から次へと何なんだよー…orz 「柚凜!私を出迎えに来ぬとは何事だ!!!!」 「Σに゙ょーっ!!?」 ドスドスと足音荒く縁側にやって来て俺に飛び付いた(と言うか押し倒した)のは、オカンことデネブ・ベガ・ジュエルの弟…ジーク・スワン・ジュエル 男だけど良妻賢母なオカンと違って自己中でマイペースで我儘…典型的な王子様タイプのジーク 黙って座ってれば可愛いのにねー…… 押し倒されたまま天井を見上げていると 皆の罵声が降ってきた 「この鳥頭野郎!!」 「僕達の目の前で押し倒すなんて…随分挑戦的じゃないかな?」 「お前倒すケド良い?」 沸点の低い桃浦龍から物凄い形相で睨まれているというのに…俺の上に乗るジークは全く怯む様子が無い 命知らずとおバカは紙一重 「柚凜は私のモノだ!!誰にも渡さん!!」 俺にのし掛かったままコイツらを煽るようなコト言うなよ… ジークの背中に腕を回し 子どもをあやすようにポンポンと軽く叩いてやると 蕩けそうな笑みを浮かべ子猫の様に俺の胸に顔を擦り寄せてきた マジで…黙ってれば可愛いんだよねー…… .
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