~英雄ナーテ~

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「まず、貴方がずっと疑問に思っていた事を答えた方がいいでしょう。」 ナーテは丸太の上で焚火に薪を焼べながら言った。ナーテの向かえでナナが胡座をかいている。 ナナとナーテはあの後、建物から出て湖の辺で野宿する事にした。密封された場所では、何かあった時身動きがとれない。というナーテの考えからだった。ナナは完璧ナーテを信用した訳でないが、単独行動よりナーテといた方が安全な気なしたので、ナーテに黙って従う事にした。 「まず貴方が何故この世界、『ビーレ』に来た理由を話しましょう。-』 ナーテは言葉を続けた。 「事の始まりは遥か昔、四百年ほど前に遡ります-。その当時、ビーレには『ルロン王国』という大変栄えた王国がありました。その王国は長い間平和でした。しかしその王国にある男がきっかけで崩壊しそうになりました。男の名は『ラルゴ』。ラルゴは王国を滅ぼし、ビーレを支配しようとしました。が、それを食い止める為、ある若者が立ち上がりました。若者は自らの禁断の力と命を使ってラルゴを封印しました。若者らは人々に英雄と崇められました。平和は取り戻したかのように見えました。』 ナーテは勢いが弱まっていた焚火に薪を放り投げた。 「・・取り戻したかに見えました?と言う事は・・・」 ナナは尋ねた。 「ええ、ルロン王国はその後突然滅びました。それは-ラルゴが蘇ったからです。」 一瞬の沈黙。 「-ラルゴは封印を解き、このビーレを支配しました。そしてその後この広大な世界の監視の為に新たな王国を二つ建てました。王国の名は『デイリー王国』と『プレセ王国』。今もこの王国は滅びる事なく、実在します。何故ならラルゴに逆らわなかったです。」 再び沈黙が流れる。その沈黙を破ったのは ナナだった。 「なんか・・・やたら詳しいんだね。・・・。」 「いえ、・・・・実は私が今の話に出てきた英雄の一人なのです。」 ・・・やれやれ、今日は色々と驚く事があるな・・・。 心の中で冷静にツッコミをいれれるところ辺り我ながら心が落ち着いてきて驚きが感じなくなった、と感心した。
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