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揺れは大きくなる。ナナは今来た通路を睨んだ。
「しつこいのは嫌われるって・・・・。」
通路から広間に現れたのは、またもや熊らしき生物。もはやナナに逃げ場はない。それを分かっているのか熊らしき生物の口元が笑っていた。
「もうダメだ・・・。」
後ずさり、背中が石版にぶつかる。ナナは死を覚悟した。
熊らしき生物は一気に飛び掛かりナナとの間合いを詰めた。その時、黒い影が熊らしき生物に飛び掛かった。
熊らしき生物は訳も分からぬうちに体を切り刻まれる。血が噴き出し、くぐもった声を出す。熊らしき生物は足の筋を切られ、痛みで床に倒れる。その拍子に自慢の長い爪は音を立てて折れる。黒い影は間髪を入れず高く跳び、熊らしき生物の首元を狙って強烈は踵落としを入れた。熊らしき生物は悲鳴をあげず、息絶えた。即死だったのだろう。
黒い影の主はナナを振り返って言った。
「大丈夫ですか?主?」
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