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電車を降り駅から一歩外に出ると、周りはオフィス街と言う事もあり、沢山のビルが並んでいる。その中の1つ、8階建てのビルの4階に花澄の働く会社は入っていた。ビルには沢山の会社が入っており、自社の社員以外にも沢山の人間と顔を合わす事となる。
エレベーターに乗り込み、4階のボタンを押すと横から沢山の腕が伸び、思い思いに階ボタンを押していく。エレベーターガールの様に一通り押されたボタンを確認し、閉まるのボタンを押そうとした時、入口の方から甲高い女の声がした。
「待って下さ~い!! 乗ります! 乗ります!!」
誰の声かを確認した花澄は閉まるのボタンを押したい衝動に駆られたが、沢山の人が乗っていて意地悪な女だと思われるのが嫌で、開くのボタンを押したまま、近付く足音を聞きながら深呼吸をした。
「すみません!!」
「おはよう」
息を切らしながら、乗り込むその女に花澄は無表情に挨拶をし、閉まるのボタンを押した。
「花澄先輩だったんですね」
息も切れ切れに額に滲む汗をハンカチで押さえ、その女は花澄に笑顔を浮かべた。
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