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そうはいっても、今の自分はキシダに別れをきりだす事など出来ない。
きりだしたところで、キシダに笑いとばされるのが関の山だろう。
トウコは考えた。
そして、ビールを一口、目を見開く。
「だからか!さすが私!」
テーブルの上に置かれたままの封筒の中から、真新しいレターセットを取り出す。
トウコは自分の閃きに酔いながら、ペンをとり、手紙を書き出す。
「二年前の私へ・・・っと。」
キシダに会ってしまったら、もう別れられない。
ならば、会わないように、すればいいんだ!
「~~と、その道は危ないです。通らないようにしーてーくーだーさーいっと。」
トウコは出来上がった手紙を一通り読み直し、さっと封をした。
夜中だったが、はやる気持ちを押さえられず、サンダルをひっかけて近くのポストへ。
月明かりの下、トウコは笑っていた。
別れの実感はなく、むしろ、よく出来た課題を提出する気持ちいっぱいだった。
月明かりの下、ポストに手紙を投函した。
月明かりの下、トウコは笑っていた。
そして
トウコはその場で消滅した。
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