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そして、昔を懐かしむように話し始めた……
「実はね。
私も子供の時に交通事故に遭った事があるの。
それでミナちゃん達と同じように家族を失って、私自身生死の境をさ迷ったんだ……」
「え……ホントですか!?」
私は驚きを隠せれなかった。
初耳だった……
私やお姉ちゃんと同じ境遇を持った人が、こんなにも身近に居たなんて……
そんな私にユリエ先生は小さく微笑んだ。
「そうだよ。
それで、その時私を助けてくれた先生に憧れて、私は医者を目指したんだ。
そして、医者になった時誓ったの……
『誰も死なせない』って……
だけど……」
その笑顔から一滴の涙が流れた……
そして、うつむくと小さく私に言ってきた……
「ごめんね……
ヤマト君…救えなかった…」
それは"謝罪"の言葉だった……
ユリエ先生にとって"あの人"は初めて救える事が出来なかった人……
だけど、それは無理に等しかった……
病院に着いた時、"あの人"の心臓は止まってたんだから……
「そんな事ないです……」
私はユリエ先生に慰めるように、そう呟いていた。
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