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『ヤマト君!!ミナちゃんを一人にさせる気!?
そばに居たいんじゃないの!?』
ふと、あの日、病院に運ばれた瞬間、ユリエ先生が叫んでいた言葉が思い出された……
あの時、私と"あの人"の二人を同時に手術をしながら、必死になって"あの人"に心臓マッサージを続けていた……
それは他の先生が制止をするまで……
ユリエ先生は最後まで諦めなかった……
ユリエ先生の表情が、その時と同じように悲しみに満ちたような切ない表情になっていた……
その表情に私は何も言えなかった……
確かに、ユリエ先生は"あの人"が死ぬまで、誰一人と手術した人から死人を出していなかった……
それは、その若さで手にした"豊富な知識"と"的確な技術"があったこそ成せる技で、それがあったからこそ私やお姉ちゃんも助かった。
そして、いつしか周りはユリエ先生の事を『無敗の女神』と称賛する程までだった。
「このアルバムは、私にとって"自信"みたいな物かな……
『これだけの人を助けた』、『これだけの人の笑顔を守った』って……
そんな感じで、写真が一枚一枚増える度に、この失敗を許されない仕事に"自信と誇り"を持てるようになった。
だけど……」
ユリエ先生はそう言って、自分の前髪をクシャと握りしめた。
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