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2年前のあの日……
大好きだった"あの人"が
死んだ日……
その日はちょうど"あの人"の卒業式を翌日に迎えていた。
私達はいつもと変わらず、一緒に夜道を歩いていた。
「いよいよ明日だね~」
「そうだな……
なんか、実感が湧かないな~」
「あ~あ、お兄ちゃんも明日で卒業か~。
こうやって一緒に帰るのも、明日で最後だね……」
「寂しい?」
「ちょっとね……」
私は少しうつむいていた。
すると、うつむいて見ていた地面に雪が降り注ぎ始めた。
私は静かに空を見上げた。
「お兄ちゃん、雪だよ!」
「ホントだ……
もう少しで春なのに……
……寒くないか?」
「ちょっと寒いかな……」
"あの人"の問い掛けに、私は体を縮こませながら笑っていた。
すると、"あの人"は自分が羽織っていた上着を脱ぐと、私の肩に掛けた。
その優しさが嬉しかった……
私は静かに"あの人"の手を握った……
"あの人"も優しく握り返した。
温かい……
私にとって"あの人"と居ることが
一番幸せな時間だった……
この幸せな時間が
ずっと続くと思っていた……
けど……
それはたった一瞬で
消えた……
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