絵梨菜の場合

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「ねぇ~、なんか思いついた?」 氷もほとんど溶けて、ゆるゆるのアイスコーヒーをだらしなくストローでかき回しながら私は聞いてみた。 「なぁ~んも・・・」 冴絵はそう言ってストローを銜えながら天を仰いで首を左右に振った。 8月も半ばのコーヒーショップの店内は、見るからに暇人が溜まっている。 両腕を組んで目を閉じている中年男、雑誌をパラパラ捲りながらボーッとしているOL風、何度も同じような下世話話をしているおばちゃん群・・・ 「みんな暇人なんだね」 「ねぇ~。働いているヤツは金があるんだろうから、どっかに行けばいいぢゃんね」 「働いても金に余裕がないからここに集まってきてるんぢゃん?」
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