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「そぅ、今はまだ、あなたは私のことを知らないの。でも、もう少し時間が経ったら私のことを思い出します。でも、それはどうでもいいことなの。私は今これからあなたにお礼が言える。それが大切なの」
私はまったく意味がわからなかった。
見ず知らずの女性からお礼を言われるようなことなど、まるで思い当たらなかった。
しかも、何故こんな夜更けに…
「鈴木美優さん。あなたは私達親子をとても愛してくれました。そして、私の子供の死に涙を流して悲しんでくれた」
親子?子供の死?
子供?!
「あの子が亡くなってからも、あなたは私達のことを気に掛けてくれた。私は本当に嬉しかった」
私は混乱していた。
何が何だかさっぱりわからない状態だった。
あなたは一体誰なの?
「鈴木美優さん。本当にありがとう。そして、この一言がいいたい為に、こんな時間に呼び出してしまってごめんなさい」
彼女はとても丁寧に深々と頭を下げ、再び顔を上げる彼女の瞳は涙に濡れていた。
「それでは、さようなら」
彼女はもう一度深々と頭を下げ、くるりと私に背を向けて歩きだした。
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