2章

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「18才になっちゃえば、何でもできるもん。キャバクラだってできる」 高卒で就職して、手取り15万そこそこの給料をもらったとこで、家を借りる頭金や家具、食費、光熱費にすらならない。 コンビニのバイト代はお小遣い程度しかなく、ほぼ毎月のケータイ代や昼食代、定期代や遊び代やらで消えていってしまっていた。 「私には今、お金が必要なの」 家賃、家具代全て揃えるなら100万は必要だろう。 その100万を稼いだらさっさと辞めればいい。 「なんか心配だな。朝美が変わっちゃいそうな気がする…」 幼い頃から一緒の由衣は、誰より私の事を分かってくれていた。 年は一つ上。性格は全く真逆で、男っぽくて流行には無関心で、服を買うなら漫画を全巻そろえたい、といったカンジの、パッと見地味な由衣。 でも私よりしっかりしてて、気が強く、姉御肌だ。 「大丈夫。100万貯めたらすぐ辞めるから。そしたら資格でも取って就職するよ」 と、由衣を説得してみた。 「絶対、約束だからねっ」 床に並べたキャッチの名刺を横目で見ると、由衣は部屋を出ていった。
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