3章

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なんてほっとしながら歩いていると、後ろから誰か付いてくる気配を感じた。 「すみません。キャバクラのスカウトなんですけど──」 またか。 今は働く気があるけど、地元でやる気はないんだから。 疲れてるのもあったし、まるで視界に入ってないかのようにシカトして歩いた。 「このへんで一番大きい、《THE GOLD》って店なんですけど、良かったら話だけでも──」 あー、マジ ウザイ。 また罵ってやろうとしかめっ面で振り向いた。 「あんまりしつこいとストーカーですって警察に言うよっ」 と、怒鳴りかけて私は足を止めた。 えっ、こんな人がキャバクラのスカウトなの?って思うような、青白い顔で、くずれかかった髪型の、まるで疲れてきったサラリーマンみたいな男が立っていた。 「あなた、前から気になってたんですよ。一目見た時からダイヤの原石だなって──」 虚ろな目で私を見て言った。 でも、その目にはすごい力を感じた。 ダイヤの原石だなんて、笑っちゃうけど、何よりその男の真剣な眼差しに何か感じるものがあった。 「時給なら3000円は保証します。好きな日に来てくれて構いません。うちは毎日、飲み放題、バイキング食べ放題です」 しきりに店の事をしゃべり始めた。
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