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『どうしたの?』
懐かしい言語を聞いた。
この世界に来てからは、懐かしい言語となった言語を聞いた。
その言語を喋ったのは小さな女の子だった。
全身黒に包まれた女の子。
本当に、この世界じゃ黒は当たり前の色だな。
『どうもこうも…。此処は何処で何?何で言葉が通じない?』
私は何て礼儀知らずなんだろう。
でも、やっとまともに話せる相手が来たのだ。
嬉しさを通り越して、苛立ちの的にしてしまった。
『此処は此処よ。言葉が通じないのは、皆、貴方の喋ってる言語を知らないからよ。』
なんて、的を外した解答。
当たってるっちゃ当たってるけどさ。
『なんで、お前は言語が通じる?お前誰?』
とことん私は礼儀知らずだ。
しょうがないか。
敬語を習った記憶が無いから。
『私は私よ。』
駄目だ此れは。
手遅れでは無いが重症だ。
『アイツの名前は?』
またしても私の質問。
答えは無いのに疑問だけが湧き出て来る。
『此処の皆は、名前が無いの。私も名前が無いの。此処は、行き場の無い人が集まって出来た。』
『…は?』
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