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『…夜は寂しいの。』
私は用意された甘い紅茶をすすりながら、少女の話を聴いていた。
『夜しか来ないの。』
少女自身紅茶をすすりながら、遠い目で話している。
『私も此処で産まれた。…なんて言うのかしらね?…此処は、ゴミ溜めみたいな所なのよ。』
『私の母さんも父さんも、此処で産まれた。…げんにゴミ収集者が来るのよ。』
『捕まったら壊される。私達は壊レモノだから。』
途中から、少女の話には付いて行けずに呆然と聴いていた。
私の後ろでは、背後霊のように只つっ立ってる奴がいる。
コイツは、少女の話が理解出来てるのだろうか?
『母さんも父さんも、収集者に壊されたわ。』
『此処の人間が喋らないのも、そのせい。私達は壊レモノ。喋る必要はないのよ…。』
『壊スモノが来る日は、決まってるのよ?壊される人も決まってる。』
『ねぇ見て』
少女が差し出して来た手首。
青白く血が通ってるかすら解らない。
その青白い手首に巻き付けられている緋い革紐…。
『この革紐は、収集者に付けられるのよ。そして、この革紐が百を越えたら…私達は壊されるの。』
もう少女の話は私に聴こえてはない。
壊すだの、壊されるだの…
私には解らないから。
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