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少女の名前…。
私にかっこいい名前を付けるネーミングセンスは在るが、残念ながら、可愛らしい名前を付けるネーミングセンスは無い。無いんだ。
『ねぇ何でも良いのよ?私も名前が欲しいわ。』
名前をせがむ少女。
どうしたものか…。
適当に目に付いたモノでも在ればな。と、思い
辺りを見回す。
殺風景な黒い部屋。
こぢんまりしたキッチン。
真っ黒なドア。
『…クロ。』
発してみて後悔した。クロって何だ。黒猫の名前みたいな名前だ。
『…ごめんナサイ。悪気はアリマセン。』
あまりにも、あんまりだったので
自然と謝罪の言葉が漏れてくる。
申し訳ないが、私には精一杯だ。
『可愛らしい名前ね。有難う。気に入ったわ。』
少女が満面の笑みで、謝罪を繰り返す私に言った。
この少女…もといクロは、かなりの聖少女だ。
いや、私独断の見方だが。
『…そんな名前で…良かったのか…?』
恥ずかしさで、顔から火が出そうだ。
穴が入ったら入りたい。
むしろ、マリアナ海溝より深い穴を掘りたい。
『えぇ。素敵な名前よ!』
クロは満面の笑みを絶やさないが、逆に其れが…。
いや、プラス思考は大切だ。
クロと言う、変な名前でも…
名前を付けられた少女自身が、気に入ったから良いじゃないかっ!
さぁ名前も決まったし、私は行動を起こさなければ!
そう!例え、下弦に止められても
私には行かなきゃいけない所がある。
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