―下弦―

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私は駆け出していた。 そう、収集者を追うために…。 さっきから、私は全力疾走をしてる訳だが…。思うようにスピードが上がらない。 原因は100%…私の腕を掴んでいる、下弦だ。 『…はー…なー…せー…!』 さっきから何度、離せと言う単語を言っただろう…。 腕を掴む人物を、最大級に悪い目付きで、睨む。 が、下弦、無反応。 『……ウザ』 うん。ちょっと、ウザかった。 はたから見たら…。 誘拐犯が、女子高生を誘拐しようと、腕を掴んでるようにしか…見えないだろう。うん。 私は先に進みたいんだっ! バキッ 衝動に駆られた。 今だったら、分かる気がする。 《ムシャクシャしたから殺った。でも今は後悔している。》 うん。今だったら、この言い訳を言う奴の気持ちが、よーく分かる。 下弦を殴ってしまった。 私の握り締めた拳が、下弦の顔面に…当たってしまった。 『…あ。』 下弦が顔面を押さえ、うずくまる。 道行く人(暗闇の世界の住民)の視線が、私に突き刺さる。 …この世界で、暴力をふるったら… …どうなるんだろうな…。
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