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私は三秒で、その沈黙に負けた。
『あー…ハロー?ハーアーユー?』
私の小さな脳みそを必死に絞り、発した言葉。
小学生だって、こんな怪しい相手に、こんな事は言わないだろう。
私の中学時代が、どれほど勉強が薄かったかが
よーく解った。
もし明日、いつも通りに高校へ行けたら、『とっさの英熟語』ぐらい学んで来ようと思う。
まぁ明日高校へ行けたら、の話だが…。
肝心の相手の反応はと言うと…
『?』
…コイツ殴ってやろうか。
全くと言って良いほど通じてない。
まるで私が馬鹿みたいだ。
事実馬鹿なのだが。
再び流れる沈黙…。
そう言えば私は下校途中だった…。
日が沈み、辺りは闇に包まれかけてる。
よく考えたら、何で私はこんな訳解らない怪しい人間(多分)と、異文化コミュニケーションを取ってるわけ?
どう考えたって、目の前のコイツは
殺人鬼or宇宙人でしょ?
そう考えると気が退ける…。
もしかしたら、私の最期の言葉が『ハーアーユー?』になってしまうかも知れないのだ。
そんなの絶対嫌だ…!
私は板垣のように、かっこいい言葉を言って死ぬって決めてるんだ…!
私は身をひるがえし、当ての無い夕闇に駆け出した…。
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