―下弦―

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どれほど走っただろう…? 不思議と疲労感は湧いて来なかった。 相変わらず変わらない、ヨーロッパのような町並み。 ヨーロッパのような町並みだなんて、抽象的過ぎるけど。 体力的には疲労はしてないが、相変わらず変わらない風景に疲れた。 けど、すぐに風景が変わった。 大通りに出たから。 大通りって言うか…。 大広間みたいな所。 私も思わず、足を止める。 真ん中に大きな噴水がある。 …何このオブジェ…。 噴水から湧き出る水が…黒い。透明な黒。 月明かりが当たって綺麗だけど、飲もうとは思わない。 他にも、真っ黒の馬車があった。 車を引いてるのは、馬かは怪しい所だが。 あと、都会みたいだ。 高いビルがあった。 カジノのような…飲食店。 クリスマスのような装飾。 ヨーロッパの町並みから、ラスベガスに飛んだ気分だ…。 と、ふいに腕を掴まれる。 『!』 下弦…かと思ったが違う。 白い服装を纏った… 収集者だった。
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