―下弦―

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風景に気を取られてる最中に、腕を掴むなんて…。 太い奴だ。 収集者は、本当に下弦の色違いみたいな感じだ。 収集者の髪は短かったけど。 水色の硝子玉みたいな目。 下弦の緋色の目よりも、ずっと信頼出来そうだ。 『…どちら様?』 我ながらナイス質問。 ……あれ?なんか過去にも似たような事を言った記憶が…。 まぁいいや。 収集者は一人…。 私が全力で抵抗したら、逃げれる…と思う。 収集者は無言で、私の腕を見る。 多分、革紐が無いことを疑問に思っている…って…。 待てよ…。 もし、今、この場で……。 緋い革紐を付けられたら…やばくないか? 『……………。』 冷や汗が、関を切ったように溢れ出てくる。 収集者に会う事は…つまり、私自身…もとの世界に帰れなくなる事と一緒じゃないかっ! 今更ながら、私は後悔した。
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