―世界―

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暗闇の世界は静かだった。 会話と言うものが無かったから。 普段私はかなり喋る方だし。 いや、最近の女子高生で喋らない奴なんか居るのか…? 居るか。 喋る事がない世界にはキツイものがある。 そういえば、アイツは何処行ったんだっけか? こんな私の知らない奴の溢れ返った世界じゃ ちょっとでも知ってるアイツの傍の方が それなりに落ち着く。 (アイツも全然赤の他人だけどな) 後ろを向いたら、奴が居た。 ………… なんだ傍に居たのかよコイツ。 …………この複雑な心境。 何と言おう…。 『あー…改めてー…初めまして?』 曖昧な挨拶の後、私は手を差し延べる。 なんか今更だと照れ臭いが。 って何で、会って何分もしないコイツに、照れ臭さを感じなきゃいけないんだ…! とりあえず 改めて初めましても何だが、私にはこれしか浮かばない。 奴は、私が差し出した手を まるで不審な物のように見つめ… 見つめ… って、私が可哀想だろ!! 握手を求めたのに、手を握られないなんて… この行き場の無い思いをどうしろとっ!? 私が必死にジェスチャーをし、握手と言うものがどういうものか理解して貰った。 ……何で、この歳で握手のジェスチャーを必死にやらなくちゃならないかとか、色々な疑問があるが 握手を求めた側としての意地なんだ、これは ――… 無事に異文化コミュニケーションは終了した。 何故こうしてまで私は握手を求めたのだろうか? まるで私は変人じゃないか。 そして、アイツの手には体温が無かった。 冷たいわけじゃなくて、体温が無かった。 爪は真っ黒で。 本当にコイツは不審者か。 私が言えた立場じゃないが。
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