崩壊の刻

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僕は荒唐無稽を信じてる。 でもこの世にはもっと、もっと不思議な事で満ちているんです。 「ただ今より 天空都市アルカヴァへの便が離陸します。お乗りになられる方は3番ゲートの方へお進みください。」 午後1時、アナウンスの声がホーム一体に響き渡った。 そう 僕、社 諒平(やしろ りょうへい)は今からこの便に乗り込むのだ。 天空都市アルカヴァ、その名の通り、空に浮ぶ都市。 30世紀、一気に進歩を遂げた科学を基に人工的に作られた新大陸だ。 いわば、伝説の空島…ラピュタといった所だろう 僕は3番ゲートに進む途中、見送りに来て居た友達に手を振る。 なんだかこそばゆい。つい最近まで毎日のように顔を合わせて居た友達に会えなくなってしまうからだ 軽く会釈をして僕はゲートを越え自分の席を探す 当たり前だがエコノミーだ。僕の席はB-14。後部座席の右側だった 手に持っていた荷物を下ろし席につく。 アルカヴァまでは2時間半。快適な新生活への第一歩だった。 席に座って暫くすると、よたよたと大きな荷物を抱えた少女が歩いて来る。 一人でブツブツと言葉を濁しながら、 「えっと…B-15…この辺りだよねぇー…」 15と言えば僕の隣りの席である。思わず、僕はその子に声をかけた。 「あの、ここじゃないの?君の席」 僕は自分の隣りの席を指差した。急に声をかけられた事に驚いたのか、少女はこちらを見て顔を赤く染める。まだ顔立ちも幼く年齢的にも僕より年下に見えた。 「あ、…はい、ここです…B-15…ありがとうございます。」 そう呟いて、少女は荷物を自分の足元に置き、席に腰掛けた。
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