この世の住人達

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何よりも驚いたのが、食い途中の食い物が、なんかこう、ぐちゃぐちゃに撒き散らされてたんだ。 ジュースも撒かれて、灰皿はひっくり返されてた。 そんなの目の当たりにして、最初から霊の仕業だ! なんて思わないだろ? 誰かが、ほんの少しの間に忍び込んで来て荒らしやがった! って思った。 でも、誰が? とりあえずタバコの吸殻だけでも何とかしよう、って事で、掃除機を用意してきたんだけど…。 ぞわり。 ! 何だ? 妙な感覚が足元から登ってきた。 途端に、立ってられない程の吐き気と目眩がしたんだ。 ヤバ、って思った時にはもう、倒れて気を失った。 次に目を開けた時には、目を疑ったね。 そして、抵抗出来ない事を知った。金縛りって奴だろう。 居たんだよ、女が。 明らかに普通じゃない…簡単に言うと、黒い女だった。肌も、何もかも。 俯いたまま俺の部屋をうろうろして、何かを捜しているようだった。 俺はピクリとも動けなくて、声も出せないままそれを見ていた。 俺は女が居なくなるまで間抜けにそれを見てた。話はここでお仕舞い。 女が何を捜していたのかわからないし、何故居なくなったのかもわからない。 頭を振って、消えるように居なくなった。 ただ、それからがキツかったな。 部屋の片付けはもちろん、なんか霊感が目覚めちまったみたいで散々だったぜ? 周一で金縛りに遭うわ、肩は重いわで…。 ん? 心当たりあんの? ま、霊を信じていないマスターにはつまらない話だったかな。 ただ、断言できる。 あの女が霊だったのか、イカれた何かだったのかわからないが。 この世で一番ヤバいのは、ああいう奴らだよ。 だって抵抗できないもん。
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