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プロローグ
深く…静閑として、どこか神秘的な印象を持つ森林…
その森林の中を、自分と同じ身丈程の大鎌を片手で持つ、片目だけの石仮面をつけた一人の女性が歩を進める…
その姿は凛として尚且つ、野獣の様な獰猛さも出している。
歩を進める内に、やがて女性は小さな小屋にたどり着いた。
「ここね…」
小屋の前に立ち、女性は小さくそう呟くと、ノックもせず小屋に入っていく…
とても小さな部屋…その中で一人の詩人がゆったりと椅子に腰掛けていた
手のひらぐらいの小さな妖精が詩人の耳元で何かを囁いている。
詩人は妖精からの話を聞くと
「お客さんか…」
と、一言呟き、机の上にあった紅茶を一気に口に含んだ。
「わざわざ知らせてくれてすまないね。勝手ついでで悪いんだが、ハーブを採ってきてくれるかな?もうすぐ切れそうでね」
詩人は微笑を浮かべながら妖精に言う。
妖精はコクッと頷くとすぐさま窓の外から出ていった。それを見届けた詩人は急に真剣な顔つきになり左右の腕を組んだ。
「さて…どちらさんがやって来たのか…」
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