僕でよければ

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僕でよければ

君は 君は、また つまらない意地を張ったんだね 無理することないのに 泣けばいいのに 君が泣く姿を 誰も咎めやしないのに そんなに怯えることはないんだよ なにを怯えているんだよ 恐がる必要なんかないよ 僕は君の味方だって いつも言ってるじゃないか 君を覆うそれは 鋼より脆くて まるで蝋のようで それを自分でわかってて それでも強く固めて それは 溶かしてくれる誰かがいれば いずれやめてくれるはずだよね 蝋燭に火を灯すことは簡単なのに 君はかたくなにそれを拒絶して 固めたココロが 溢れないように 零れないように 小さな頼りない手の平で いつも支えているよね 僕でよければ いつでも火を灯してあげるのに そんなに分厚く覆ったら 君自身がつぶされてしまうよ それはあまりに好ましくないじゃないか だからせめて 君の小さな手の上にのるくらいまで 固めすぎた蝋燭を溶かそう 蝋を溶かしていく 揺らめく炎はきっと きっとすごくきれいだよ
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