~冬~

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2009年 冬 年があけて間もない …1月 今日も明は病院に来ている そして、瑞希のリハビリを見守っていた …最近瑞希はイライラしていた 瑞希は視力を失う前も アイマスクを使って歩く訓練をしていたが… やはり、本当に見えなくなると 不安になってうまく歩けないらしい… うまくいかないリハビリなどで ストレスの溜った瑞希をケアするのも 明や叔母さんの役目となっていた… 「瑞希ちゃん 明日も頑張ろうね」 手を振る看護士に軽く頭を下げ 瑞希を叔母さんが誘導しながら 病室まで戻った 「……もうやだ」 この日も 瑞希はイライラしていた 「瑞希…大丈夫よ 頑張ればすぐ歩けるように」 「頑張ってるよ」 瑞希はシーツを握り締めた 「…あたし 頑張ってるんだよ」 「…瑞希 焦らなくてもいい ゆっくりやろう…な?」 ――そんな瑞希を なだめるのは 明の役目だった… そして 叔母さんはため息を吐きながら 病室を出ていった… .
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