~冬~

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    桜井は階段にいた。 その姿を見つけ、 すぐさま駆け寄った。 「桜井っ!」 階段を下りていた桜井の後ろ姿が ピタッと止まる。 そして、ゆっくり振り向いた。 「なんだ、宮島? 幼なじみの事なら放課後」 「目だろ」 俺は桜井の言葉を遮り、 自分の考えをぶつけた。 「…何の話だ?」 桜井は表情を変えない。 「とぼけるなよ…… 瑞希は目が悪いんだろ? そうなんだろ?」 「…落ち着け」 「本当は風邪でも肺炎でもない… 目が悪いからなんだろ!? なぁ!!そうなんだろ!?」 「落ち着け!宮島!!」 シンと静まる階段。 俺は、いつの間にか震えていた。 「何で隠すんだよ!! そんなに悪いのか? ……答えろよ…桜井」   桜井は目をそらし、 何も答えようとしない。   「……分かった。自分で確かめる」   俺はそう言って、その場を去った。 「……」 残された桜井は、少し表情を歪ませ やがて、階段を下りていった。    
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