~冬~

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    ――…俺は 瑞希の家の前にいた。 インターホンに近づき、 一息吐いてインターホンを押した。 ――ピーンポーン ……… 返事がない。 いないのだろうか? もう一度インターホンを押そうと、 手を伸ばした…… 「お母さん?」 俺は素早く手を引いた。 確かに瑞希の声だ。 どうやら叔母さんは出かけているらしい。 少し躊躇ったが、口を開いた。 「瑞希、俺…明だ」 その瞬間 中でガタッと音がした。 「あ、明…?」 「あぁ」 「び、びっくりした… どうしたの?学校は?」 扉越しに聞こえる瑞希の声は 弱々しく今にも消えてしまいそうだった。 「瑞希」 「あっ、分かった。 あたしの事心配で見に来たんでしょ? でも大丈夫、肺炎って言ったってそんな」 「開けてくれないか?」 「……っ」    
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