~冬~

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    瑞希の目は 両目とも 真っ赤に染まっていた。 「……瑞希」 「…見ないでよ」 瑞希はパッと顔をそらす。 不安が募り、瑞希に問いかけた。 「治るんだよな」 「………」 「目、薬とかで治るんだろ? ちゃんと、治るんだろ?」 「……」 瑞希は何も言わない。 「なぁ、瑞希…… また、学校行けるんだよな?」 「……」 「なぁ? ……答えてくれよ、瑞希」 思わず 涙が溢れた。 「治らないよ」 瑞希は俺の方を見ず、 床に向かって言葉を吐いた。 「……今、何て」 「治らないんだよ、 あたしの目」 俺を見た その赤い瞳には 涙がにじんでいた      
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