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2008年
春
年があけ、
桜の花が咲き誇る4月。
瑞希が病気を宣告されてから、
約5ヶ月が過ぎていた。
今日は始業式、
俺達は高2になる。
その日の朝、
俺は瑞希の家を訪れた。
――ピーンポーン
…ガチャ
「おはよう、瑞希」
瑞希の眼鏡は前より分厚くなり、
赤い目は相変わらず痛々しかった。
「おはよう、明」
それでも、昔からの優しい笑顔は
変わっていなかった。
俺と瑞希は近くの堤防沿いを
ゆっくり歩いていた。
瑞希の目に悪いので、あまり
外に出てはいけない事になっていたが、
今日は特別。
今日は、
瑞希の誕生日だ。
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