~春~

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堤防を歩いて5分。 眼下には菜の花畑が 広がっていた。 「きれい……」 鮮やかな黄色に目を細める瑞希。 その横顔は、とても穏やかで綺麗だった。 「……下りてみようか」 間近で見る菜の花には 蜜蜂が飛び交い、 懸命に密を集めていた。 「菜の花畑なんて久しぶりに見た」 「…俺も」 春の柔らかい日差し 暖かな風 この場所を包む空気は、 とても心地よかった。 「始業式は午後からなんでしょ?」 「うん。1時につけば大丈夫」 「なら、もう少し一緒にいれるね……」 「……だな」 右手をポケットに入れた。 中にあるのは長細い箱。 瑞希への 誕生日プレゼントだ。    
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