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俺の部屋で、誰かが泣いてる。
この狭い四畳半の部屋で、ベットに二人で座る形で。
俺の部屋で、俺の隣りで……
誰かが泣いてる。
彼女は嗚咽の合間に謝ってる。
「ごめ……んなさ……い」
何度も何度も、謝ってる。
俺はただ俯いていた。
許す事も、許さない事も出来ないまま、時間は過ぎて行く。
許したら全てが終わる。
許さなければ彼女の気持ちに反する事になる。
それは、彼女を守りたいと思う自分の意思とも反するのだ。
許す事も、許さない事も出来ないまま、時間は過ぎて行く。
「……別れよう」
沈黙を破る彼女の言葉。
別 れ よ う
何で?
どうして?
こんなに好きなのに。
こんなに守りたいのに。
頭を鈍器の様な物で殴られた感覚に陥る。
別れよう、その言葉だけが頭の中で繰り返される。
別れよう、こんなにも重く、痛い言葉だったんだ……
「さようなら……」
俺の振り絞った言葉がそれ。
本当は嫌なのに。
本当は辛いのに。
それを言葉にする術を持たない俺は、受け入れるしか無い。
泣きながら俺の部屋から出ていく彼女を見送った後、俺は窓の外を見た。
今日は……雨だ。
外の天気も、俺の心も。
今日は……雨だ。
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