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飛び掛かって来た彼らの内の一人の胸倉を掴んで、彼女は背負い投げを食らわした。
もう一人は首を掴んでそのまま壁に叩き付けた。
「苦……離…せ」
「はぁ??ごめんなさい、離して下さいだろ!?」
彼の足は宙を掻き、彼女の腕一本に支えられている状態だ。
要するに、苦しいから離して欲しいそうだ。
彼女はあまり聞く耳を持っていない様だが。
「調子に乗んな、くそが!!」
背負い投げされた片割れが捨てられていたビール瓶を片手に後ろから襲いかかって来た。
しかし彼女は気にも止めず彼の首を絞め続けた。
ガシャン、と瓶特有の破壊音が辺りに響いた。
しかし彼女は寸前の所で身体を左にずらして回避した。
その腕は構わず振り下ろされ、数秒前までいた目標の先……つまり仲間の頭に直撃した。
「横からどーん!!」
避けて体勢を立て直した彼女は彼の横っ腹に飛び蹴りを食らわした。
パンツが丸見えだが本人はあまり気にしていない。
いきなり左からの圧力を受け、彼は右側に転がって行った。
「お前……何なんだよ……」
横っ腹を抑えながら男は辛うじてそう言った。
「あたし??一葉だけど」
「名前は聞いてねぇ……」
男はそう言って気を失った。
「俺は……元、男だよ」
彼女は……いや、彼は……いやいや、彼女……
一葉はそう言ってその場を立ち去った。
再びその場に、静けさが戻った。
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