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「こちらHQ、実働隊のドランツだ。隊長が負傷された、至急後送する必要がある!」
それに対する返信が返って来る。
「こちら後送班臨時隊長、シュナイダー。事態は了とした、だがこちらも人員が不足していて直ぐには向かえない。こちらへ来て貰えると助かる」
「それは無理だ。敵の集中砲火を受けながら後送するなど不可能だ!」
互いに押し黙り、軈てシュナイダーが口を開いた。
「……了解した。衛生兵を二名と車両を一台向かわせる。武装車両ではないが、それで何とかしてくれ」
ドランツは礼を言い、カズハの横にしゃがんだ。
「中尉、隊長を後送します。後退に際し、お手をお貸し頂けますか?」
カズハは呆然としており、ドランツの声が聞こえていない様子だ。
キスリングの胸に手を当てたまま、揺すった時の体勢のまま動かなかった。
「……車両隊が来るまで何としても持ちこたえろ!」
ドランツはカズハに語り掛けるのを諦め、指揮官の替わりに指示を飛ばした。
しかし突然敵の攻撃が止み、防護盾を持つ隊員は踏ん張るのを止めた。
「……攻撃が、止んだ?」
「降伏勧告をするつもりだろう。もしそうなら返事替わりに誰か発砲しろ」
ドランツの言葉に隊員達は笑いを堪え、これから来るであろう言葉を待った。
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