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茫然自失のカズハを囲んで守るデル・ヘンケル隊の隊員達。
ホフマンが降伏を勧告するのだと思った通信兵は、無言で通信回線を回した。
繋ぐ際に生じる一瞬のノイズ。
ホフマンはゆっくりと無線機を手に取った。
「全軍、撤退せよ」
カズハ達に対してではなく、自軍の将兵に指示を出すホフマン。
幕僚は慌ててホフマンに詰め寄った。
「閣下!何を仰るのです!?優勢の我々が何故撤退しなければならないのです!」
ホフマンはその言葉に対して罵声を浴びせた。
「貴様は同じ言葉を二度聞かねば理解出来んのか!!その腐った脳味噌が詰まった頭に叩き込め、私が司令官だ!」
慌てて撤退準備を進める兵士達。
ホフマンは萎縮した幕僚に対しては何も言わず、振り返ってデル・ヘンケル隊を、カズハを見ていた。
「……勝ってなどいない。プリティー・ウィッチが構えた銃に弾が入っていたら、ああなっていたのは我々だった。我々は……運が良かったのだな」
八割方、撤退を終えた将兵達に混じり、ホフマンはゆっくりと歩みを進めた。
「その運と貴官の顔に免じて、今回は我々が引く。……その様な顔をした小娘に対して引き金を引く指を、私は持ち合わせてはおらん」
軈てホフマン率いるファンデメンド軍は、カズハ達の索敵範囲の外に出た。
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