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ドランツとシュナイダーの恫喝に身を震わせる二人。
最初はその震えはドランツ達に対してだったが、それは別の者の存在に対しての震えに変わった。
「ドランツ大尉、シュナイダー大尉。そういうのは言葉で説明する事じゃないわよ」
その言葉で二人は振り返り、慌てて敬礼をした。
にこにこと笑ったカズハが手を後ろに組み、気配を消してドランツ達の背後に立ったのだ。
「隊長、気配を消されるとはお人が悪い」
「あら?下士官を脅す人に言われたくないわよ?」
カズハは後ろ手を解き、一歩前に進んだ。
敬礼をしたまま左右に分かれる二人の間に立ち、笑顔のまま二人の下士官に話し掛けた。
「私に何か言いたい事でもあるのかな?告白なら鏡を貸してあげるけど?」
ぶっ、と吹き出すドランツとシュナイダー。
カズハの笑顔に一瞬気を緩めた二人だったが、シュナイダーの言葉を思い出し、解き掛けた敬礼を元に戻した。
「いいえ!」
「御座いません!」
二人の答えに顔を顰めたカズハは頭を掻き、溜め息を漏らす。
直接文句を言ってくるなら許すが、本人を前にしては何も言えない腰抜けを、カズハは一番嫌悪した。
「……ドランツ大尉、貴官がこの件を対処したのは何度目になる?」
「はっ!今回で三度目であります!」
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